もったいない、という罠「サンクコスト効果」にかからないために

 ■行動心理学

「サンクコスト効果」とは何か

 

サンクコスト(英:sunk cost)とは、すでに投資してしまったがもう回収ができない費用のことをいいます。
「埋没費用」とも呼ばれており、金融や経済学でよく使われる言葉です。

そのサンクコストは、ビジネス以外の日常生活のあらゆる場面で発生しており、私たちの意思決定に心理効果として影響します。

 

サンクコスト効果の影響による心理作用

サンクコストは、人間の意思決定に良くない影響をもたらせることがあり、その際によく使われる言葉でもあります。

そのような心理現象は、経済学ではサンクコスト効果、行動経済学ではコンコルド効果と呼ばれています。以下の例でサンクコストによる意思決定への影響を見てみましょう。

《例1》開発費用に関してのサンクコスト

イギリスとフランスの共同プロジェクト“コンコルド”の開発は、サンクコストが影響して失敗した典型的な事例となります。またコンコルド効果として呼ばれるきっかけともなった理由でもあります。

コンコルドは時速2400kmで飛行することができる世界初の超音速旅客機として、世界各国から注目を浴びていました。ところが、開発が進んで早い段階で、通常の飛行機よりも長い滑走路が必要、乗客定員数が100人程度、燃費が悪すぎるなどの理由から「超音速旅客機は販売を開始したとしても採算が取れない。」ということが判明しました。

開発を続けた場合どの程度の金額がかかるのか算出したところ、「今すぐ開発を中止して、発注元企業に違約金を払った方がはるかに安く済む」というほど大赤字という結果です。

それに関わらず、すでに巨額の資金と時間を投入していたために両国はプロジェクトを中止することができず、最終的に数兆円の赤字を生み出してしまったのです。

《例2》映画のチケット代に関してのサンクコスト

あなたは、2時間の映画のチケットを1800円で購入したとします。
映画を観始めて30分後に映画がつまらないことに気づいた場合、あなたはその映画を観続けるか、それとも途中で映画館を退席するか、どちらでしょうか。

【1】映画を観続ける: チケット代1800円と、つまらない映画のために2時間失う。
【2】途中で退席する: チケット代1800円は失うが、残った時間の1時間30分を有効に使うことができる。

有意義な時間にするために映画を観ることに投資したのであれば、つまらない映画であることが分かったタイミングで退席してでも残りの1時間30分を有意義に活用するほうが経済的には合理的となります。

ですが、多くの人は1800円の出費は判断基準に含めて映画を観続けることを選んでしまいます。これは、すでに出費してしまった1800円に対してサンクコスト効果が作用していることとなります。

上記の例の様に、このまま投資し続けても見返りがないにも関わらず、すでに費やした時間やお金を考慮した結果として、合理的でない誤った判断を下す影響がサンクコスト効果です。

人間は既に投資してしまった時間やお金に対して簡単に捨てることができません。ただ、いくら後悔しても回収することができない時間やお金に執着してして、さらなる損を引き起こしてしまうことは避けましょう。

 

まとめサンクコスト効果とは、もう回収ができない投資(お金・時間)に執着するがゆえに、冷静な判断直を失う心理現象。

投資した内容に左右されずに、未来の投資必要性を試算し直すことが大切です。

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