占いが当たっているように勘違いしてしまう「バーナム効果」の心理作用とは

 ■行動心理学

「バーナム効果」とは何か

 

バーナム効果とは、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を言われた人が、自分に当てはまっていると勘違いしてしまう心理現象のことです。占いにのめり込んでしまう理由などを研究していた心理学者バートラム・フォアラーの名前から「フォアラー効果」とも呼ばれています。

 

フォアラーの実験

アメリカの心理学者バートラム・フォアラーが1948年に行なった実験が有名です。いろいろな雑誌の星占いに書かれていた内容を組み合わせただけの文章を、教え子たちには「一人ひとりの性格検査を実施し、その検査結果に基づく分析」と称して以下内容を読ませました。

 あなたは、他の人から好かれたいと思っているし、褒められたいとも思っている。その反面、自分に批判的な傾向もある。いくつか弱点もあるが、大抵の場合はうまくカバーできている。あなたにはかなりの才能があるのにそれを活かしきれていない。しっかりしていて自制心もあるように見えるが、本当は臆病で自信がない。自分の判断が正しいかどうか疑問を抱く時もある。

適度な変化を好み、何かを禁じられたり制約を設けられたりすると不満を覚える。独自の考えに誇りを持っているため、他の人の言うことを根拠なく受け入れたりはしない。軽々しく他人に心を開くのは賢明なことではないとおもっている。

外向的で気さくで開放的に振る舞う時もあるが、内向的で懐疑的で控えめになる時もある。どちらかといえば非現実的な願望を抱くこともある。

上記の内容に対して、全く当たっていない0点、完璧に当たっている5点とした時、教え子たちが自分の性格分析に対してつけた点数の平均は【4.3点】でした。

全ての教え子に対して同じ内容を読ませたにも関わらず診断の的中率は86%と評価したのです。この実験はその後何年間にもわたり繰り返されてきましたが結果はほとんど同じとなりました。

 

占いが当たっていると感じてしまうわけ

先ほどの文章を読んで、あなたも3〜5点と評価したのではないでしょうか。実は人間には、他の多くの人にも適合する性格描写を自分だけに当てはまっているかのように感じてしまう傾向があります。占い師や経営コンサルタントは、この「バーナム効果」をうまく話に盛り込みながら相談者の信頼を得ている場合が多いのです。

 

なぜ信じてしまうのか

「バーナム効果」はなぜ引き起こされてしまうのでしょうか。

1つ目の理由は、「一般的な内容」でどのような人にも必ず当てはまるからです。先ほどのフォアラーの実験で書かれていた「自分の判断が正しいかどうか疑問を抱く時もある」という部分では、自分の判断に疑問を抱いたことのない人などほとんどいないはずです。

2つ目の理由は、私たちは「聞こえのいい言葉」は自分に当てはまらなくても受け入れる傾向があるからです。「あなたにはかなりの才能があるのにそれを活かしきれていない。」という部分では、まだ自分の気づいていない才能を他者は見出している、と知って嫌な気持ちにはならないでしょう。

3つ目の理由は、「特徴肯定性効果」の影響があるからです。人は、肯定的なことやそこにあるものは、否定的なことやそこに無いものよりも価値があるように感じます。

4つ目の理由は、思考の誤りである「確証バイアス(自分の考えを証明する証拠ばかりを集めて、それに反する証拠は集めようとしない心理)」が働くからです。自分の思い描く人物像に当てはまることは受け入れますが、それ以外のことは無意識に排除して、自分自身と矛盾しない人物像だけが残ります。

それぞれの理由が作用して、誰にでも当てはまる文章を自分にピタリと当てはまるものだと誤解をしてしまうのです。

 

まとめ

相手から信頼を得るための方法として、バーナム効果を利用することは有効です。

 

信頼をえる必要がある占い師や、経営コンサルタントはバーナム効果のプロです。あなたのことを知っている様なことをアピールしているときは「バーナム効果」を思い出して一度冷静になりましょう。

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