「プラシーボ(プラセボ)効果」が生み出す錯覚を利用する

 ■行動心理学

「プラシーボ効果」とは何か

 

プラシーボとは英語で「偽薬」を意味します。「偽薬」とは、人間に対してはほとんど薬理的効果のないブドウ糖やデンプンを材料として、本物の薬のような外見として作られています。

プラシーボ効果とは、その薬理的効果のない「偽薬」を効果のある薬だとして患者に処方しても、本来の薬と同じ様な効果を得ることができることをいいます。1955年にヘンリー・ビーチャーが研究報告をして、広く知られるようになりました。

睡眠薬などの依存性のある薬の過剰投与を抑えるメリットがあります。

 

プラシーボ効果の実験方法

プラシーボ効果を明らかにするためには、一つは本物、もう一つは偽薬の、2種の薬を用いて比較対照試験で実施されることが多いです。

有名な実験で、米国での電気ショック実験があります。被験者を2つのグループに分けて、電気ショックの痛みを和らげる薬として被験者に投与する実験を行いました。Aグループには「1錠10セントの薬」と説明し、Bグループには「2ドル以上もする新薬」と説明しました。

この実験ではどちらも偽薬を用いたのですが、結果として「2ドル以上もする新薬」と説明されたグループの方が痛みの軽減効果が大きかったという結果が出たと言われています。つまり「高い薬の方が良く効く気がする」という思い込みがプラシーボ効果を生み出したことになります。

 

プラシーボは日常生活でも使われている。

本来は医療から派生した用語ですが、今では日常生活でも使われています。

例えば、内容物は同じなのにパッケージが変わることでより美味しく感じたり、有名ブランドと言われた時の方が品質が高いように感じることがあるかと思います。この様な場合もプラシーボ現象と似た影響が起きています。

 

プラシーボ効果で注意すべき点

プラシーボ効果とは逆の効果を与える、「ノーシーボ(ノセボ)効果」というものがあります。

本来プラシーボ(偽薬)は、思い込みで薬と同じ改善効果を期待して投与されますが、逆に望まない副作用(=有害作用)が現われることをノーシーボ(ノセボ)効果といいます。
本来は無害なもなのに、有害だと思い込んでしまうと実際に体に悪影響を及ぼしたり、実際薬理的に効果のある薬を投与しても、効果がないものだと思い込むことで本来の効果を得られないこともあります。

また、プラシーボ(偽薬)の投与は緊急性のない病気に限ってのみ行われるべきであり、偽薬に一定の効果があるかどうかについては、疑問視する意見も常にあります。

 

まとめプラシーボ効果とは、薬理的な効果のない偽薬だとしても、効果があるものだと思い込むことで実際に同じ様な効果が得られることをいう。ただし、逆に悪影響を及ぼすこともある。

 

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