「現状維持バイアス」を克服し成功を収める

 ■行動心理学

「現状維持バイアス」とは何か

 

現状維持バイアスとは「現状とは異なる状況への変化を避ける」心理抵抗を表すバイアスです。何か行動をするときに現状維持となる方法を選択しやすくなります。

なぜ現状維持を選択しやすいのかというと、人間は行動によって得る報酬と損失のうち、損失のほうを重視して捉えてしまうことが原因です。

たとえば、今あなたが好きでもない仕事に就いているとします。「自分の好きな仕事」に挑戦するチャンスがあるにも関わらず、なかなか辞めることができません。なぜ行動に移せないのでしょうか。それは、「未知の環境や不確実性の高い未来による、安定した現状が無くなってしまう損失」を避けたいという心理が働くからです。
そのため「現状の自分のままでも良い」というバイアスが掛かり、変化から逃れようとするのです。

 

損失を回避しようとする心理現象

現状維持バイアスの陥る根本的な原因は、損失の回避です。損失とは金銭が失われてしまう場合や現在あるモノが無くなってしまったりと様々です。
現状を維持しようという人間心理には、以下の様な心理現象も複合的に作用しています。

■プロスペクト理論
利益と損失がまったく同じ度合いだった場合でも、人間は損失の方を大な影響と感じてしまうという理論。

■ネガティブ・バイアス
ポジティブな情報より、ネガティブな情報に価値を見出し重点を置くこと。

■保有効果
自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる傾向。

いずれも損失を回避したいという心理現象です。
人間が進化の過程で身につけた潜在的な心理傾向のため、強力なバイアスを生み出します。

 

現状維持バイアスから脱皮する

現状維持バイアスは、変化をすれば利益がある場合でも現状を維持し、変化することに過剰に反応してしまう傾向です。

かつて日本人が農耕民族として収穫を得ていた時代では、今までの経験を元に長い時間をかけて穀物を育てることが重要でした。当時は、今までのノウハウ維持して生産することが生きるために必要な能力だったのです。人は現状であることを望み、それが“種の存続”という観点においては合理的な正しい選択でもありました。

ですが、現在社会はインターネットの普及により膨大な情報を簡単に手に入れることができます。それによって、トレンドや需要は目まぐるしく変化をしています。
少し前に流行ったものが、数ヶ月後には飽きられているということも感じるのではないでしょうか。過去には安泰だと思われていた、新聞業界や銀行業界が衰退してきていることにも驚かされます。

この様な現代社会において、現状維持バイアスに囚われて変化することができない人 (組織)は取り残されてしまう事さえも考えられます。

ドイツの哲学者ニーチェの言葉の通り、“脱皮しない蛇は死ぬ”のです。

 

 

まとめ

人間が変化、成長できない理由に現状維持バイアスの存在がある。

現代社会において、過去の方法にとらわれることは時代に取り残されるリスクもある。

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